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専門家コラム vol.2

一番つくりやすいのは幸福や驚きの表情。では、つくりにくいのは?一番つくりやすいのは幸福や驚きの表情。では、つくりにくいのは?

高齢者の方に、表情を演技してもらった調査では、笑顔はちゃんとできていたんですが、嫌悪や怒りといった他の感情は表情が弱かったり、さまざまな感情が混ざってわかりにくいという結果が出ています。つまり、はっきりしている表情が少ないんですね。

これは、例えば眉が下がったとか引き寄せられたといった顔のパーツの動きからも分析してみています。それを見ると、幸福や驚いた表情をお願いした場合は、はっきりと表情ができていましたが、他の感情の場合は表情のうえでもさまざまな動きが混ざり合って判別しにくいことがわかりました。

調査の後半では、高齢者が演技した表情を大学生に見せて、「この表情はどう見えますか」と聞いているんですが、幸福の表情は幸福と判断されるんですね。驚きもそうです。しかし悲しみや怒り、特には嫌悪感や軽蔑といった感情になると、はっきりと判別できませんでした。

ただ、この傾向は高齢者に限ったことではなく、大学生の場合でも同様なことがわかっています。私たちの普段の生活をふり返ってみても、嫌悪や軽蔑を表情にすることは避ける心理が働くので、当然といえば当然かもしれません。

また、文化の違いや環境、一人ひとりが持っている社会的な価値観によっても、よく表す表情と、あまり表さない表情があると考えられます。そして、何らかの理由で表情にすることを避けることで、表情筋の中でも普段あまり使わないものが誰にでもありそうです。

表情筋も筋肉ですから、年齢を重ねれば弱まり、表情をつくりにくくなっていきます。特に普段あまり使わない表情筋を意識的に動かし、鍛えていくことで、いつまでも自分の感情が明確に伝わる表情をつくっていくことも大切かもしれません。

※このコラムはインタビュー「表情は文化の違いや年齢でも変わる」でご紹介しきれなかった中村真先生のお話をまとめたものです。

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